【名医からのメッセージ~トップランナーが語る半生】001 中山 若樹(脳神経外科)第8回

【名医からのメッセージ~トップランナーが語る半生】001 中山 若樹(脳神経外科)第8回

各領域のプロフェッショナルである「名医」へ、その生い立ち、医師になったきっかけ、実績、そして未来へのメッセージをインタビュー。 
 
一般生活者へ最新医療を啓蒙、医師へのメンタルブロック解消により病院や医師選びの選択肢の拡大を実現し、個々にとっての最適な医療の受診につなげることを目的にしています。
1人目は脳動脈瘤や脳動静脈奇形などの脳血管障害におけるプロフェッショナル 中山若樹先生(柏葉脳神経外科病院 常務理事・副院長/高度脳血管病センター長)です。
8回にわたるシリーズの最終回の8回目は「次世代へのメッセージ 次の人へ」になります。

第8回:名医とは「人のこころをわかること」
あきないこと、終わらないこと、一生続けられることを見つけてほしい
—未来に向けて、子どもたちへのメッセージをお願いします。
高校を卒業して18歳ですよね。
大学卒業で、医学部だと24だけど、一般の学部だと22、要するに20数歳。
で、そっから仕事するって40年とか50年なわけですよね。
子どもたちにとってみたら、やっぱり今学校に通ってる世界がすごく広大で自分の将来ってなかなか描けないかもしれないけど、実はその学生の期間ってほんとに短くて。そのあとからが本当のスタートじゃないですか。
だから、ぜひですね、一生かけても飽きないことを目指してもらいたいかなって。
僕が幸せだなと思うのは、やっぱりこの、特に脳外科はそうだと思ってるんですけれど、 一生かけても終わらないんですよね。
いつまでたっても気に入らないんです。自分のやっていることが。これは芸術と近いかなと思っています(笑)。
音楽だって陶芸家だって、 周りからすごいねとかいいねって言われても、自分では気に入らないんですよね。もっとこうしたいとか、ここどうしたらいいかわかんないとか、ああしたいっていうのを常に追いかけて生きてくじゃないですか。で、この外科医の世界も同じかなと思ってて。
終わりがないっていうのがすごく幸せっていうか、やりがいがあると思ってるんですよね。だから、それはすごく好きであればっていうことだと思うので。
傍から見れば大変かもしんないですよね、お医者さんだって。お医者さんだけじゃないと思います。大変なことっても、お医者さんでいえば、特に外科医たちって夜中も臨時手術があるし、自分の研鑚って考えたら本当に寝る間もないだろうし、大変だし、それから責任あるし、苦労も多いし、でも、それ全部幸せかなと思って。
それは自分が好きなことをこうやってるから、突き詰めることを永遠にやっていけるから幸せだなと思えるんであって。
だから、これは子どもたち、別に医学だけじゃないと思うんですよね。自分がやろうと思ったことを、本当に楽しんでもらいたいというか、好きになれることを選んでほしいっていうかですね。 一生かけても飽きないっていうか、挑み続けられるような好きなことを、そんな道を歩んでってほしい。
ただ、 学生の間は何が自分が好きかわからないことも多いと思うんです。
それでいいと思うんですよね。文系の学部でも、 理系の場合でも。自分は何をしたいかなっていうのは見えないとこも多いですよね。むしろその方が自然かもしれない。その世界に入ってみなきゃ本当のことはわからないじゃないですか。だから、それでもちろん構わなくて、結局エイッってどっかを選ぶわけで、 選んで入っていったことをとにかく突き詰めていくことを楽しんでくれればいいかなと思う。
特に今の時代、転職しながらキャリアを積み上げていく時代になってるじゃないですか。今まで日本ってこう、終身雇用だったけど結構欧米化したと思うんですよね。
そういう意味では、自分が生涯に挑むことは1つだけとは限らない。まずは自分が足を踏み入れたことをとにかく楽しんでのめり込んで発展していって、そうするとまた次やりたいことが生まれてくると思うんです。それが積み重なることで、それまでの経験を活かしながらどんどん世界が広がっていくんだと思います。大変だとか辛いとか、あるいはお金のためにじゃなくて、自分が足を踏み入れたことを本当に楽しみながら取り組んでってもらいたい。そういうものを見つけてってくれればいいかなと思います。
社会に出るまでは色々学生の間に勉強しなきゃいけないとか、受験しなきゃいけないとかあると思いますけれど、それもそこから先の40年、50年のために必要な時期だと思って力を発揮してほしいなと思いますね。
「人のこころをわかること」
—最後に、名医とは一言でお願いします。
「人のこころをわかること」でしょうか。
まず一つは、自分が治療する対象である患者さんとか家族の心。それを考えて背負うからこそ、妥協せずベストを尽くすんだと思います。そして、同じ職場の人たちや先輩後輩の気持ちをわかってあげられることも大切ですよね。医療はチームですし、そして後輩に伝承していかなければならない。目のまえにいるあらゆる人の気持ちを考えることができること、もちろん完全に知ることはできないわけですけど、分かろうとする姿勢でいることが、結局名医と呼ばれるものを生み出す人間につながるのかなって。
自分は無意識にいつもそれを大事にしてるんだと思います。
【関連情報】
関連記事
人気記事