【コラム:近代医学・生理学の幕開け】血液循環を発見した「近代生理学の創始者」-ウイリアム・ハーベイ 1

【コラム:近代医学・生理学の幕開け】血液循環を発見した「近代生理学の創始者」-ウイリアム・ハーベイ 1

心臓血管外科と循環器内科の関係は
本誌の編集に携わるようになって気になったことのひとつは医療機関の診療科目の呼称でした。一般の方にはわかりにくいと思われるものが、いくつかありました。そのひとつが循環器内科です。
一般的に脳関係の診療科の場合、外科は脳神経外科、内科が脳神経内科、呼吸器関係のそれは呼吸器外科と呼吸器内科と、きわめてわかりやすいのに対して、心臓血管系は心臓血管外科と循環器内科であることが多く、統一がとれていないように思いました。
しかも「循環器」という名前がとっつきにくい。循環器が心臓、血管、リンパ節など体液を循環させている器官を指す名称であることを知っている人は(医療機関が思っているほど)多くはありません。一部に「心臓内科」という呼称を使う医療機関があるのは、そのへんを考慮したためかもしれませんね。
いずれにせよ循環器内科を含めて各診療科が、いったいどういうことをしているのかを、わかりやすくお伝えしていくのも私たち医療新聞社の使命・役割であると肝に銘じています。
心臓の弁は一方向にだけ開く
血液が循環していることが発見されたのは17世紀でした。16~17世紀に活躍したイギリスの医師、ウイリアム・ハーベイは臨床より研究に興味を持ち、実際に解剖して心臓の上の2つの室(心房)と下の2つの室(心室)の間にある弁が一方向だけに開くことを発見しました。
血液は心房から心室へ流れますが、逆方向には流れません。静脈に一方通行の弁があることはハーベイの師匠であるファブリキウス(イタリア)が発見していました。つまり静脈中の血液は心臓方向にのみ流れていました。
ハーベイが動脈を固くしばると血液が止まって心臓側がふくらみ、静脈を固くしばると心臓と反対側がふくらみました。血液は静脈から心臓へと流れ込み、心臓から動脈へと流れ出していたわけです。1628年、ハーベイは、この成果を72ページの小冊子として発表しました。
※『病院の選び方2023 疾患センター&専門外来』(2023年3月発行)から転載
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