【名医からのメッセージ~トップランナーが語る半生】002 大圃 研(消化管内科)第6回

【名医からのメッセージ~トップランナーが語る半生】002 大圃 研(消化器内科)第6回

各領域のプロフェッショナルである「名医」へ、その生い立ち、医師になったきっかけ、実績、そして未来へのメッセージをインタビュー。 
 
一般生活者へ最新医療を啓蒙、医師へのメンタルブロック解消により病院や医師選びの選択肢の拡大を実現し、個々にとっての最適な医療の受診につなげることを目的にしています。
2人目は消化器内視鏡治療におけるプロフェッショナル 大圃研先生(NTT東日本関東病院 消化管内科部長・内視鏡部部長)です。
8回にわたるシリーズの6回目は「医師になってからの軌跡(後編)」になります。

第6回:常に変化と成長を求める「大圃組」
「大圃組」は部活
—どのようなチーム、体制にて従事されていますか
現在は15人が在籍しています。
ざっくり言うと「部活」のような組織ですね。
内視鏡を学びたい思いがあり、理由あって医局を退局されて「背水の陣」となってやってくる方がほとんどで、出身大学も学年もキャリアもみんなばらばらで、大変なことを知った上で、個々の意思で「入部」してきています。
医局のローテーションによる派遣やうちの病院の下から上がってきている人も一切いないです。こんなふうに回っているところって、日本では他にはないと思いますよ。
若手医師をマンツーマンで指導
若手医師をマンツーマンで指導
—「部活」の活動状況はいかがでしょうか。
かなりきついし無理もいうので「辞めたければ、いつでも辞めていいよ」っていいますが、辞める人はまずいないですね。きつい、きついと言っていますが、人数的にもそれなりの数がいて、みんなで頑張っていく、そんな「部活」的要素が支えている気がします。
きつい、大変なだけでは辞めていってしまうのですが、がんばったご褒美として嬉しい出来事であったり、全国区で有名になっていった先輩もいるので、そういうモデルを追いかけていくことで続けていけているんだと思います。
また、ギラギラして成長し続けていくことはマストだと考えているので、海外留学制度も独自に設けてしますし、1年後に訪れた旧メンバーが組織の変化を感じない様なことがあれば大きな問題ととらえ、常に変化と成長し続けることを考え、安定運航はNGの方針に基づいて歩んでいます。
XXX年 XXXでの講演
—「大圃組」の在籍期間はどのくらいでしょうか。
4、5年くらいでしょうか。短期のローテーションもさせないし、長期在籍もさせないです。中期的ですね。
やはり、4、5年もすると慣れてきて居心地が良くなってしまって、個人も組織も成長しなくなるので「他で自分の城を作れ」と言って、長期で永住はさせない方針です。
そうすると、若手に仕事が回ってくる。その時点ではまだ役不足ではあるんですが、そのポストを任せられると、モチベーションも上がって、やはり頑張れるんですね。若いからできるんです。すごく伸びていきます。立場が人を作ってくれますね。
入るときには「4、5年サイクルで回す」という私のビジョンを必ずお話しています。
「接遇」で患者さんの満足度は変わる
—患者さんの治療にあたり、大切にしていることを教えてください
患者さんへの接遇を最も大切にしていますね。ここまで厳しくやっているところはあまり見たことがないと見学に来た他の病院の方々によく言われます。
僕のパーソナリティによるところが大きいかと思いますが、正しい医学教育を受けて、その学習を続けたものが医師としてやっているので、個々の医師が施す医療のクオリティにはそんなに差異はないと思っていますが、接遇によってその差異ができて、患者さんの満足度に反映されると思っています。
実際には、それぞれの患者さんにあわせて理解できるように説明すること、そして、その言葉遣いや振る舞いなどに重点を置いています。
例えば、インフォームドコンセント(IC)には1時間くらいかけていますよ。僕の場合、ESDは10分くらいで終わるのですが、説明は1時間なので、ICのほうが大変だと看護師さんによく言われてますね(笑)
メンバーにはICのテストを実施して僕が細かくチェックしてフィードバックをします。合格するまでは単独でのICはさせません。一発で合格する事はめったになくて、繰り返し注意されて直してもらいます。それくらい力を入れて取り組んでいます。
もう一つあって、それは執着心をもつこと。
その治療方法の安全が担保されているのであれば、粘り腰や執着心をもってあきらめることなく治療すること。淡泊にすぐあきらめてしまうことはNGですね。
あっさりとサクサクやれることはうまくできるんだけど、ちょっと大変だと「これ難しいね」って言ってやめちゃう。そこを「何とかしよう、何とかしよう」って思って、粘り強くやることは、治療手技のベースとしてとっても大切だと思っていますし、その執着心がない限り技術的には上がっていけないと思いますね。

診察の様子

—7回目は「私の現在位置と未来について」になります。
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